電動アシスト自転車の普及とネットワーク効果
最近、電動アシスト自転車が急速に普及しているようです。
リンク: 電動アシスト自転車、快走中 性能向上 市場も拡大|産業|経済|Sankei WEB.
自転車をこぐ力をモーターで補ってくれる「電動アシスト自転車」の市場拡大が続いている。電動アシスト自転車は平成5年の初登場以来、バッテリーなどの性能が年々向上。ユーザーもかつての高齢者中心から、子育て世代の主婦やサラリーマンなどにも広がっている。入学や就職などで新生活が始まる春を迎え、新商品の投入も活発化している。(小雲規生)
売上自体も堅調に伸びていますが、身近で見かけることも多くなりました。とくに、都内千代田区・港区・渋谷区・品川区・目黒区では、幼稚園や病院、スーパーの駐輪場に止めている自転車をみれば、かなりの頻度(停めている自転車の20%以上)で電動アシスト自転車が見つかります。
一方で、ちょっと都心を離れると、普及はぐっと少なくなります。個人的に見た感じだと、5月の休日の吉祥寺の井の頭公園周辺は100台中1台だけでしたし、同じく5月の平日の幕張のカルフール周辺は50台くらいある中でゼロでした。1年半前の話ですが鎌倉コーナンの駐輪場では5,60台に2台程度の目撃レベルでした。いずれも全国的には所得の高いとされる地域ですが、都内と比べ普及率には大きな開きがあるようです。
電動アシスト自転車の普及には、消費者同士のネットワークが重要なポイントと思われます。というのも、電動アシスト自転車の平均価格は7万円ぐらいですので、おいそれと目をつぶって買うには少々高い買い物になります。実際には全くの別次元の乗り物ではありますが、1万円くらいでママチャリが買えることを考えると、なかなか踏み切れないところでしょう。その場合に、身近にユーザーがいて、良さを説明してもらった上で試し乗りをさせてもらえれば、それでも買おう、という気になるかと思います。勿論、店によっては試し乗りをさせてくれるところもありますが、試乗したら買わされるのでは、と思うとなかなか「試させて」と言えない人も多いかと思います。
というわけで、まだ普及していないところでも、ユーザーのネットワークが形成されるにつれ、今後急速に普及していくのではないでしょうか。
また、メーカー側が普及を促進するためには、購買予定者、将来の見込み客が、電動自転車という商品について理解し触ってみる機会を増やすために、業務用やレンタル用など、まずは業界全体で台数を増やすことが必要かと思います。その上で、家庭用によりハイエンドの機種を売っていく、という戦略になるのではないでしょうか。
テレビ・冷蔵庫・洗濯機が60年代の三種の神器、カラーテレビ・クーラー・自動車(カー)が70年代の新三種の神器でしたが、現代の三種の神器は電動アシスト自転車・食洗機・デジタルレコーダーといったところでしょうか。普及しつつも、まだまだ今一歩これから、という点でも現代の三種の神器にふさわしい商品と思います。
さらに将来的には、マイカーの普及が郊外型のライフスタイルと住宅開発を促進したように、電動アシスト自転車の普及は街づくりにも少なからず影響を及ぼすだろうと予想しています。車がないと生活が成り立たない、というような環境が増え、中心市街地が衰退している地域が多数見られますが、電動アシスト自転車があれば車の必然性を減らすことができ、そういった中心市街地に住むことの価値を高めてくれます。
電動アシスト自転車により単純に漕ぐ負荷が半分になれば、同じ疲労レベルで移動できる距離は2倍に、行動できるエリアの面積は4倍になります。生活に必要なお店や施設が電動アシスト自転車の行動圏に入ってくることになります。また、同じ量の荷物を積んでも負荷は半分なので、より多くの荷物を自転車で一度に運ぶことができるようになります。これは中心市街地にある商店などにとっても、これまでは駐車場を確保しにくかったために、自動車で来る消費者をつかまえることができず寂れていましたが、今後、電動アシスト自転車が普及してくれば、従来の自転車・徒歩客相手の頃の4倍の面積からの商圏人口を期待できるようになる、ということでもあります。
例えば、碑文谷のダイエーの場合、だいたい半径1kmくらいが従来の自転車・徒歩で毎日来てくれるお買い物客の商圏と思われます。電動アシスト自転車によりこの範囲が半径2kmくらいまで拡大できれば、自由が丘や大岡山、武蔵小山、世田谷区下馬あたりまで商圏に加えることができます。
一方では、消費者にとって選択肢が拡大することになり、これまでは自分の店で押さえていたお客さんが、2kmくらい離れた専門店に取られたり、といった競争も激化してくることでしょう。
電動アシスト自転車を効率的に使うことにより、現在は交通の便が悪いなどの理由で地価や賃料が安かったところが多くのお客を呼んで価値が高まり、新たな商業集積を生み出したり、土地の効率的な活用につながったりすることを期待しております。
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