電動アシスト自転車:エナクルの競合他車との比較優位性
1.速い
エナクルは速いです。他の電動アシスト自転車がタラタラ走っているところを、ぐんぐん抜いていきます。その秘密は、エナクルは自転車の実際の速度を測定し、それに応じたアシスト比率でモーターを動かすことができるからです。
え?と思われるかもしれませんが、PASやVivi、ハリヤなどの他社の電動アシスト自転車は、自転車の実際の速度を測定できていないのです。クランクの回転速度から測定したケイデンスに、最高ギアのギア比をもとに速度を推定しているだけです。
日本の法律ではアシストは時速15km未満は踏力と等倍まで、時速15km以上24km未満では速度に応じて漸減、と定められています。PASやVivi、ハリヤなどのセンターモーター方式では、この法律を守るには、最高ギアのギア比で時速15kmないし24kmをオーバーしないといけないように作らねばならないことになります。でないと、「実はアシスト速度オーバーしていました、テヘッ(笑)」ってことになりますが、経済産業省や警察庁が笑って済ませてはくれないでしょう。
そのため、PASやVivi、ハリヤだと最高ギア以下のギアだと15kmないし24kmに達する以前にアシストが弱まり、無くなってしまいます。
シマノの内装変速機インター3の内装ギア比は(「自転車探検!」参照)、
| 1速 | 0.733 |
| 2速 | 1 |
| 3速 | 1.36 |
3速で時速15km、24kmと同じケイデンスだと1速、2速はそれぞれ
| 1速 | 8.08km | 12.94km |
| 2速 | 11.03km | 17.65km |
| 3速 | 15.00km | 24.00km |
高いギアを基準にアシスト速度を法律に準拠させようとすると低いギアだとかなり遅い速度で、アシストが頭打ちになってしまいます。
例えば、傾斜のきつい坂を登っているとき、1速では8kmでアシスト比率最大に達してしまい、それ以上漕いでもアシスト比率は減っていくだけになります。
エナクルなら、何速だろうが24kmないし15km、またはエコ充電だったら12kmまでビシッとアシストしてくれるのとは、大変な違いがあります。 エナクルなら傾斜など、力の必要な状況にあわせて内装変速機を変速して、人力と電力のバランスに応じた走り方ができますが、他社では変速して低いギアで走ろうとすると、アシスト上限速度が下がってしまい、アシスト率も下がってしまうので、変速するメリットが大きく損なわれています。
そのためセンターモーター方式の自転車、とくにPASでは、最初からかなり低いギア比にして、最高ギアでも坂を登れるようにしています。しかしその結果、同じ回転速度(ケイデンス)ではエナクルに比べ鈍足な自転車になっています。
ボリュームゾーンの26インチ車種同士比較してみます。前後のギア比はエナクルSN263Dは35T×18T、PASリチウム(PZ26LS, 07年式)は40T×22Tです。(エナクルは所有しているものから実測、PASはヤマハのWebページから)
26インチ車で比較すると、タイヤ外径は666mm、周長は2092mmで両者同じです。
| エナクル26インチ(SN263D) | PASリチウム26インチ(PZ26LS) | |
| クランク歯数 | 35 | 40 |
| 後輪歯数 | 18 | 22 |
| ギア比 | 1.94 | 1.82 |
| 内装ギア比(3速) | 1.36 | 1.36 |
| 総合ギア比(3速) | 2.64 | 2.47 |
| タイヤ外径(mm) | 666 | 666 |
| タイヤ周長(mm) | 2092 | 2092 |
| 時速(km/h) | ||
| ケイデンス50rpm | 16.60 | 15.52 |
| ケイデンス60rpm | 19.92 | 18.63 |
| ケイデンス70rpm | 23.24 | 21.73 |
| ケイデンス100rpm | 33.20 | 31.04 |
同じ回転数(ケイデンス)でクランクを回しても、エナクルよりPASの方がスピードが出ません。ゆったりのんびり漕ぐスピードである50rpmだと、エナクルなら時速16.60kmでますが、PASは15.52kmしかでません。最も力の出るとされる70rpmでエナクルなら23.24kmでますが、PASは21.73kmしかでません。
(※厳密には、同じケイデンスで同じ負荷というわけではないので、同じパワーで漕いで同じケイデンスまで出るとは限りません。上記はあくまで同じ回転数での比較です。公開されている情報をもとにした分析です。)
価格.comや2chなどでは、エナクルはPASよりもスピードが出ない、などと嘘の書込みがされていますが、実際は逆で上記のようにエナクルの方がPASよりも速いのです。
(※しかも、あえて触れませんでしたが、PASリチウム26インチは実はアシストが時速23km未満までしかありません(カタログ参照)。エナクルよりも一生懸命漕いで、それでも23kmで頭打ちです。)
このようなエナクルの速さを生み出している根源は、前輪ハブモーターによる正確な速度測定です。正確な速度測定があるから、PASのように3速のアシスト速度を法定内にするため、坂だろうがなんだろうが無理に3速を前提としたギア比を設定する必要がないためです。
蛇足ですが、このようにPASはスピードが出ない作りになっているため、一部ユーザーはリアスプロケットを交換し、歯数の小さいギアに替え、同じケイデンスならもっと速度が出るように改造をしている人もいます。しかし、これは速度に対するアシスト比率の変更にあたり、違法です。
違法な改造をしないといけない電動アシストと、最初から速度が出る電動アシスト、どちらが優れているかは言うまでもないでしょう。
そもそも、PASやViviに折角ついている内装変速機が、3速以外あまり出番がないただの飾りになっているなんて、激しくムダじゃないでしょうか。それなら、廉価版エナクルのSQのように変速機なしにすればいいのに(笑)。
「2.安全」以降はまた今度、気が向いたら書きます。
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